王権のためのソナタ『黄金の父』 作者:■■■■■■
タイトル | 王権の為のソナタ『黄金の父』 |
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舞台 | フランス・パリ |
人数 | 2〜4人・新規継続問わず |
時間 | ボイスセッションで4時間〜 |
ロスト | 低 |
推奨技能 | 〈フランス語〉30%〜50%程度・〈目星〉 |
ある日、探索者らは1本の留守番電話を聞くことになる。
内容は「黄金の父を探せ・報酬金は6000ユーロ(日本円で1000万円)」。
全世界に発信された依頼を様々な理由から受け、
探索者はフランスのパリへと向かうのだった。
シナリオの真相
シナリオ冒頭、探索者らはドニ・ルグランという男から依頼を受ける。その依頼の内容は「黄金の父を探してほしい」という内容で、探索者らは「黄金の父」を探すためにフランス・パリを奔走することになるが、ドニ・ルグランのいう黄金の父とは、「Père d'or(黄金の父/ペール・ドオ)」ではなく、フランス語の同音異義語「paire」を意味する「paire d'or(黄金の番/ペール・ドオ)」──つまり2本の笏(キーパーコンパニオン・60P)を意味していたのだ!
頭のいいプレイヤーにおいては、冠詞のことは一度忘れよう。
依頼者のドニ・ルグランは暗黒のファラオ団・フランス支部に属する支部長である。
本部のあるロンドンから、暗黒のファラオを呼び出す為に一時借用をしていた「2本の笏」が盗まれてしまい、それを取り返す為に探索者らに依頼を出した。
しかしあまり大っぴらに協力を仰いでは、他の支部のファラオ団教員にバレてしまう事になる。それは暗黒のファラオ団・フランス支部にとって大きな損失だ。その為、ドニ・ルグランはややこしい手段をつかって協力者を集める必要があった。
2本の笏を盗んだのは、シエル劇場にて指揮を行うジャン=ジャック・アレそしてその演奏にてヴォーカルを務めるヴィクトワール・アレだ。彼らはアザトース(公式・204P)の信者であり、アザトース招来の呪文を彼の指揮する歌に載せ、アザトースを招来しようとしていた。天井の開くシエル劇場は、戸外にて詠唱を行わないといけない「アザトース招来」の呪文に都合が良い。また、一見特殊な指揮棒に見えなくもない──否、あまりにも特殊すぎる見た目だが、棒状のなにかという意味において──2本の笏もまた、招来の為のマジック・ポイントの補給にうってつけだった。
彼らは演劇の最終演目にて、アザトースの招来を試みる。
探索者は演奏中の彼から2本の笏を奪った上で、呪文を書き換えてアザトースの招来を阻止しなければならない。
シナリオ構成について
今回のテーマ「音楽」に倣い、本シナリオの進行はソナタ形式をとっている。
ソナタとは大まかに表せば「提示部・展開部・再現部」の三部構成となっている楽曲のことであり、それぞれ「依頼の音声(同音異義語)を読み解き、集合場所に辿り着く」(テーマを表す提示部)、「依頼に寄り添った探索中」(テーマのアレンジ)、「同音異義語で呪文を書き換える」(最初のテーマに戻る)という内訳で構成されている。
NPC
ドニ・ルグラン(Denis・Legrand)/40代男性
暗黒のファラオ団(マレウス・モンストロルム・201P)・フランス支部に属する支部長。暗黒のファラオ団では、ニャルラトホテプの化身であるネフレン=カを進行しており、フランス支部では現在、アレ夫妻のアザトース招来を阻止する活動を行なっている。
なお、2区で起こっていた人攫いの事件は暗黒のファラオ団が起こしているものであり、これは2本の笏の探索を行う為、攫った人間を使用して未来の視察(公式・287P)を行わせていたのだ。
ジャン=ジャック・アレ(Jean-Jacques・Allais)/30代男性
アザトースの信者。アザトース招来の為にシエル劇場をつくらせ、今回の計画を決行した。自分の目標達成のために動く力はあるが、芸術的センスと元よりある金の力だけで何とかなっただけであり、INTは著しく低い(シナリオ内にて記載しているが、ジャンは極度に馬鹿である必要があった)。
ヴィクトワール・アレ(Victoire・Allais)/20代女性
アメリカ人。元々はドニ・ルグランの婚約者である。神や何やらにそこまで興味はないが、権力のある男が好きで何故かいつも悪い男に引っ掛かっては悪どい商売を強制されている。かわいそうといえばかわいそうな人物だが、自分で考える能力が低すぎるというのが大きい。
アーロン(Aaron)/20代男性
謎の因果によりセフデカーの像の右腕を拾った哀れな人物。自前のアタッシュケースにしまい込み、シナリオ当日に売り払おうと思っていたが、ヴィクトワールに鍵を盗まれた。
導入
リード文
過日。
探索者らは、一本の着信──あるいは留守番電話を聞くこととなる。
フランス語で語られたそれは、その言語を習得していない者にとって、
呪い(まじない)のようにも聞こえただろう。
内容は以下の通りである。
「黄金の父を探せ」
「無事黄金の父を探し当て、私に献上した者には報酬金6000ユーロ(日本円で1000万円)を与える」
「勇気のある者だけ、この番号にワンコールの返信を」
探索者らは、様々な理由からその番号にワンコール、応答を捧げた。
クトゥルフ神話TRPG王権の為のソナタ『黄金の父』
シナリオ0日目
ワンコールを送った探索者らに、一件のSMSメッセージが届く。
そこにはフランス・パリにある大きな公園を示す住所が書かれていた。
大きな勇気をもった探索者らは、
その住所を目指し一週間後、その公園へと向かうことになる。
知らない番号からの着信に踊らされる馬鹿げた者だと笑う奴らもいるだろう。
しかし探索者らはそこに行かねばならない。
なぜなら君たちは探索者であるのだから。
パリ到着
公園にて
公園へ辿り着くと、何十人の人間がその場に佇んでいた。
周りを見渡す者や、空の財布を眺めている者。
おそらく彼らもあの着信を受け取った者たちなのだろう。
不意に、大きな風が探索者らの周辺を通り過ぎていく。
それと同時に何かが印刷された羊皮紙が宙を舞った。
周りの人々は、突然現れたそれらに手を伸ばし内容を確認している。
美しきパリのセーヌ川を望む
高貴なその場所は簡単には死せず。
ハクチョウを元に進んでいけ。
セーヌを跨ぐか細い声の目の前に。
私はそこで聡明な君を、待っている。
ドニ・ルグラン
その羊皮紙を読んだ周りの者たちは、首を傾げている。
イタズラだと判断し、落胆の色でその場を離れる者も複数いた。
暗号の解読
KPはその単語に振れる技能があった場合、それを提示する。
▼ 羊皮紙全体
〈アイデア〉
タイプライターで記入された羊皮紙の文章は、「簡単には死せず」「ハクチョウ」「声」の部分だけ手書きで書かれていることが分かる。
▼ 「簡単には死せず」
〈歴史〉・〈知識〉・〈アイデア/2〉
パリのセーヌ川を望む場所に位置する有名建造物で「簡単には死なない場所」に該当するものといえば、以下が挙げられる。
一度は大きな火災に見舞われ、尖塔(せんとう)は大きく焼け落ちてしまった場所だ。しかし復旧を経て現在、内部に入る事こそ叶わないが、当時の威厳を取り戻してきている。
▼ エッフェル塔
1909年、利用価値が薄いとされて壊される予定だったエッフェル塔は、
別の利用価値があると見なされ、存続した過去を持つ。
▼ ルーヴル美術館
1793年に開館されたルーヴル美術館だが、その3年後の1796年、
建物の構造上の問題により一度閉館している。
しかし構造を見直した上で、1801年に二度目の開館を果たしている。
▼ 「ハクチョウ」
〈図書館〉・〈アイデア〉
パリのセーヌ河の上には「白鳥の島」と呼ばれる場所がある。
人工の島であり、そこには自由の女神のレプリカが飾られている。
▼ 「か細い声」
〈聞き耳〉
耳を澄ますと、「シャンゼリゼ通り」をモチーフにした楽曲を
弾き語る者の声が薄らと聞こえる。
▼ 藁半紙の裏側
〈目星〉・あるいは宣言
「文字ではなく音を聞け」と書いてある。
+++
▼ 裏側を見た上で「ハクチョウ」
〈フランス語〉・検索する宣言で開示
「ハクチョウ」を意味する「cygne(シーニェ)」という単語は、
「合図」を意味する「signe(シーニェ)」と全く同じ発音である
▼ 裏側を見た上で「か細い声」
〈フランス語〉・検索する宣言で開示
「声」を意味する「voix(ヴォア)」という単語は、
「道」を意味する「voie(ヴォア)」と全く同じ発音である
+++
「簡単には死せず」・「ハクチョウ(同音異義語)」・「か細い声(同音異義語)」
▼ 上記の3つの開示できた時点で:〈聞き耳〉
成功:
その時、パリの中央から真昼間の花火があがった。
今までの探索者らであれば、デモかなにかが起こったのだと思うだろう。
しかし、君たちは理解した。
あれがドニ・ルグランの残した「合図」なのだということを。
あの方角には、ルーヴル美術館が建っている。
細い橋の前に、それはある。
失敗:
その時、パリの中央から真昼間の花火があがった。
デモかなにかがあの場所で起こったのだろうか?
何も起こらない。
先ほど公園にいた複数名がキョロキョロとあたりを見渡しているのみだ。
恐らく予想が外れたのだろう。
ルーヴル美術館へ
美しい造形の建物の前には、ガラスで出来たピラミッドが静かに佇んでいる。
昼夜問わず観光客で賑わうその場所から、依頼主を見つけるのは至難の業だろう。
〈目星〉・〈聞き耳〉
目星:噴水の水槽の中に、見覚えのある羊皮紙が1枚浮かんでいる。
聞き耳:「ママ!あれはなに?」という子供の声が聞こえる。子供の視線の先には噴水があった。
私にとって、ここはひとつの特別な場所である。
よくぞ私の暗号を読み解いてくれた。
後ろに並ぶものにチャンスを取られたくなければ、
必ずやこの羊皮紙を回収し、
美術館内にいる腕のない両翼の美女の元で落ち合おう。
ドニ・ルグラン
〈アイデア〉・〈知識〉 ※リアルINTでも可。
技能に失敗した場合も、スタッフに伺えば教えてくれるだろう。
腕のない両翼の美女とは、ダリュの階段踊り場にある「サモトラケのニケ」を指しているのではないだろうか?
ニケの麓にて
ニケ像のある踊り場にて。
タイミングが良かったのだろうか。人の波はさほど激しくなく、さあさあという空気の流れる音と共に、様々な国の言語が渦をつくっていた。
そして、船を模した彫刻の先に、その人はいる。
一人の男は像を見上げているようにも見えたし、誰かを待っているようにも見えた。
声を掛ければ、男は振り返る。
「君たちにとって、あの暗号は少し簡単すぎたかな」
「さて、改めて君たちに僕からの依頼を授けよう」
「『黄金の父』を探して、それを僕に渡してほしい」
「依頼はそれだけ、非常にシンプルだ」
▼ どこにあるかの検討はついている?
「それが、どこにあるかはさっぱり分からないんだ」
「尤も、それが分かっていれば各国に協力を要請するなんてことはしないさ」
「ひょっとすると、パリ市内を既に出ている可能性もあるが………」
「いいや、そんなことは考えたくはない。僕の見立てでは、まだ黄金の父はパリのどこかにあるはずだ。」
▼ どうして『黄金の父』を探している?
「恥ずかしい話なのだが、だれか、不埒な者に攫われてしまったようでね」
「大切なものなんだ。我々にはアレがなくてはならない」
▼ 『黄金の父』はいつなくなった?
「ちょうど一週間前のことだよ」
「いつもは僕の会社の、内部の人間以外滅多に入ることがないスペースに厳重に飾られているんだ」
「おそらく内部の犯行だろう。だからこそ外部からの協力が必要だった」
▼ 『黄金の父』にはどんな特徴が?
「 『黄金の父』はもちろん生きた人間ではなく、僕らの宝だ」
「あれの持つパワーはすさまじい。詳しく話さずとも、見ればすぐに分かるものだ」
「僕は極力君らのことを信じてやりたいが、君らが僕を信用していないように、僕もまた出会ったばかりの人間に対して、完全に心をオープンに出来るわけではない」
「詳細の全てを伝えられない事、どうか許してほしい。だが、それは『黄金の父』、その名の通りのものだ。先ほども言ったが、見ればすぐに分かることだろう」
「さて、これだけ伝えていれば十分だ」
「君たちが頭脳明晰であることは、この場にいることで証明されている」
「頼んだよ、僕のヴィドッグ」
シティ探索について
ここからは、シティ探索のシーンとなる。
探索者は以下の探索可能箇所から好きな順で探索を進めること。
現在時刻は9時半。1つの探索ヶ所ごとに1時間が経過する。
全ての探索可能箇所を見る必要がないと判断した場合はスキップも勿論可能。
現在の探索者の目標は【黄金の父の発見】である。
●探索箇所
[ルーヴル館内/パリ市内の観光案内所]
ルーヴル美術館
●探索箇所
[2階/1階(現在地)/0階]
2階
主に1350年から1850年までに発表されているフランスおよび北ヨーロッパの作品が並べられた階層だ。
2階シュリー翼にて。
贅沢に金の顔料が使用された「聖ドニの祭壇画」、フェルメールの「レースを編む女」などの作品が飾られているのも、
今いるこの階である。
〈目星〉
ある一枚の絵画に目が止まる。
彼らは旧約聖書にも登場しており、ソリマンはエルサレムの王であり、絵画に映る女性は南方に位置するサバという王国の女王である。
サバの女王は様々な財宝を手にソリマンの元を訪れたとされており、この絵画はそのワンシーンを切り取ったものであるようだ。
〈歴史〉・〈適した芸術技能〉
フランスの作曲家「シャルル・グノー」はサバの女王の物語をグランド・オペラに仕立て上げている。
劇中、ソリマンはシバの女王に深い愛情をもつが、その一方でシバの女王は彫刻家のアドニランに魅了され、両者は身分違いの恋をしてしまう。
このオペラは全四幕で構成されており、最終的にアドニランは3人の職人によって殺害されてしまうが、シバの女王は最後までアドニランを想い「あなたが死んでも、私の夫でいてほしい」とまで語りかけている。悲劇であるものの、壮大な愛のオペラだ。
1階
500年頃から1850年までに発表されている作品が並べられた階層だ。
シュリー翼には、古代ギリシア・ローマや古代エジプトの美術品が並べられている。
古代エジプト部門にて、
〈目星〉・〈聞き耳〉・〈アイデア〉
2世紀ごろにエジプトにて出土した「ミイラの屍衣と胸甲面」。
その木棺が僅かに動いたように見えた。見間違いだろうか?
否、その木棺の蓋はややズレているようにも見える。
アクリルケースの中にはいったそれは誰が直接触れるものでもなく、
僅かな振動では動かないような重さに見えるが──。
成功者は更に:〈目星〉
この木棺は、黄金の人間の顔をもしている。
不意に、その木棺についたふたつの瞳はぎょろりと動き出し、
探索者らの方を睨んだように見えた。
正気度喪失〈1/1D2〉
瞬きをすると元に戻っている。
スタッフに聞いても「あら、どうして蓋が……」と首を傾げるばかりだ。
0階
主に古代ローマやオリエントの美術品が並べられている階層だ。有名彫刻、ミロのヴィーナスや大きなスフィンクス像があるのもこの階層である。
1D100
探索者らが黄金の父を探しながら館内を歩いていると、一人の女性が(1D100で最も出目の高い探索者)の胸元に飛び込んできた。
「助けて!」
▼ どうしたのか?
「ストーカーが………ストーカーがいるんです!」
「ここを出る間だけでも良いので、匿っていただけませんか」
「せめて一緒に、入口まで見送っていただきたいんです」
▼ 詳しく聞く
「1年前まで関係があった男性なんですが、関係を絶ってからというもの、
執拗に私につきまとってきたり、連絡を強要するようになっていて」
「出来る限り相手にはしないようにしていたんですが
今日気紛れにここに訪れてみたら、その彼に会ってしまって……」
「今も追われているんです。きっとすぐにでも私を追いかけて、ここにきてしまうわ!」
〈目星〉
成功:彼女の左手には、婚約指輪がはめられていた。
▼ 男性の名前を聞く
「名前はルグラン……ドニ・ルグランといいます」
▼ 男性について詳しく聞こうとする
「今すぐにここから離れたいんです、どうか一緒についてきていただけませんか?」
「一人じゃ不安なんです」
▼ 共に退館する
退館し、庭を進むと美術館前の道路には一台の車が停まっており、彼女はまっすぐその方向へと駆けるように進んでいく。
〈アイデア〉
成功:運転席には一人の男性がいるようだった。
「ありがとう、優しい人。助かったわ!殺されてしまうかと思ったもの」
「コレはほんのお礼よ、受け取ってちょうだい」
「別の親切な人から頂いたものなんだけど、あなた達の方が似合いそうだから」
彼女はそう言って、探索者らにひとつのアイテムを渡してくる。
古びていて、価値はあまりなさそうに見える。
▼ ルグランを待ち構える
「おや、ヴィドッグ。まだここにいたんだね」
「人を探していてね。ブロンドの美人な女(ひと)だ」
▼ 彼女と関係が?
「彼女は僕の元婚約者だ。別の男に寝取られてしまったがね」
「僕だって他の男のものになってしまった女を、追いかける趣味はないさ」
「ただ、僕の予想では彼女が『黄金の父』を盗んだのではないかと思っているんだ」
「しかし僕はあまり彼女には近付けない。僕の予想が正しければ、本来の僕は二度も大切なものを盗まれた哀れな被害者だというのに、下手に動けば一転して、別れた美しい女を付け狙う、未練がましく卑劣な加害者(ストーカー)だ!」
▼ 探索者らが別れて行動を行なった場合
「今、他のものたちは彼女と共にいるのかな」
「君たちも、僕のように何かを盗まれていなければいいね」
そう言って、ルグランは彼女を諦めたのか、踵を返して館内の奥に戻っていく。
観光案内所
パリの土地を深く知る為、探索者らはパリ2区にある観光案内所に向かう。
「こんにちは!パリへようこそ。」
「何かお困りごとですか?」
「とりあえずこちらをお持ちになってください」
「パリ市内の観光マップです。もしかしたら何かヒントがあるかもしれません」
・レストラン
・ノートルダム大聖堂
・モルマントル
「もしまたお困りごとがあったらいつでもこちらへ!」
「時間が経てば、また違うアドバイスが出来るかもしれませんので!」
「ほら、よく言うでしょう?」
「Petit à petit l'oiseau fait son nid”(プチタ・プチ・ロワゾー・フェ・ソン・ニド)」
「『鳥は少しずつ巣をつくる』……次ここにきた時、もしかしたらまた状況が変わっているかもしれませんから!」
パリ市内の探索
レストラン
様々なフランス料理が安価に食べられると人気のレストランだ。
テリーヌ、ムニエル、ラタトゥイユ。
目でも舌でも楽しめる料理を、客達はワインと共に楽しんでいる。
・季節野菜のラタトゥイユ
・サーモン・ムニエル
・新鮮魚介のブイヤベース
・子牛のフリカッセ
・鶏肉のポトフ
・母の味のピカタ
〈聞き耳〉
「そういえば、最近2区の治安はますます悪くなってるわね」
「観光エリアは元々スリが多発していたが、2区になにかあったのかい?」
「行方不明者が多発しているんだって。老若男女問わず、人攫いがいるんじゃないかって噂。それに怪しい人たちが変なことをぶつぶつ言いながら歩いているのを見た人がいたり……新手の宗教かしら。」
「そりゃ恐ろしいな!変なコトを言っている集団でいえば、こっちの8区の方でも聴いたことがあるな。言葉というより、歌のように聞こえたけど……とにかく耳触りの悪い歌で、おかげで変な夢まで見ちまった。」
「いやね。昔はここも、もっと美しい街だったっていうのに」
〈交渉技能〉に成功でより詳しい話が聞ける
▼ 2区について
「2区にあるアパルトマンに、怪しい宗教団体のような人たちが集う施設があるのよ。」
「その施設自体はずっと前からあって、たしかに怪しくはあるけど、暴動が起きるわけでも、周囲の人たちが被害を被ったわけでもないから、パリの人たちは特に関わることもせず静観してたわ」
「でも、ここ最近……二週間前くらいからかしら?急にその施設の周辺で、人攫いが起きるようになったのよ」
「それに、それと同時期くらいに施設の周りで『終焉を見た』だとか『この世の父が来る』だとかをブツブツ呟く人たちが現れて……気味が悪いでしょう?」
「あんまり近付かない方がいいわよ。もしかしたら、気をおかしくした人たちはあの施設で実験道具かなにかにされてああなっちゃったのかも……」
▼ 8区について
「俺の言った8区の方は、市民に被害があったってワケじゃないんだけどよ」
「ただ、女の声がするんだ。女の、歌声だよ。別に汚い声をしてるわけじゃないんだぜ?どっちかって言えば、美しい歌声をしてるはずなんだ。でも、とにかく不気味なんだよ」
「その歌を聴いてると、気が狂っちまうんじゃねえかって……だから最近はわざわざホテルをとったりもしてさ。とんだ出費だよ。」
「そういえば、あの歌の歌詞は多分、フランス語だったな。多分っていうのは、その女のフランス語が下手っていうか……拙いっていうか?少なくともネイティブの発音には聞こえなかったような気がしたぜ。ま、真面目に聴けるようなモンでもなかったから、確信はねえけどな!」
▼ よきところで
レストラン内にあるテレビでは、本日行われるコンサートの宣伝が行われていた。
取材を受けているのは、推定40代前後の指揮者を務める男性、ジャン=ジャック・アレ。その横にいるのはヴィクトワール・アレという今回のコンサートでヴォーカルを務める女性だ。────探索者らには、彼女に見覚えがあった。
彼女はルーヴル美術館にてストーカー被害を訴えていた女性だ。
更に:〈アイデア〉・〈目星〉
ジャン=ジャック・アレは大事そうになにかが入った袋を抱えている。
袋の口から、チラリと黄金に光る何かが見えたような気がした。
大きさは指揮棒よりもひとまわり大きいくらいのサイズで、
袋の中には同じようなサイズのものが複数入っているようにも見えた。
モンマルトル
芸術家の街として知られる場所、モンマルトルは北部にあるパリの18区に位置し、サクレ・クール寺院やムーランルージュなどがある事でも知られている。しかし、今回の探索者らの目的に於いて探索すべきはそれらではない。
クリニャンクールの蚤の市。フランス・パリにとどまらず、世界でも最大規模の蚤の市と謳われたその市場には3000軒以上の店が立ち並び、日々、世界各国から客が押し寄せている。
100年以上の歴史があるこの蚤の市に、黄金の父があれば万々歳だ。
そうでなくとも、様々な物品に知見のある者も多いだろう。なにか話が聞けるかもしれない。
〈目星〉
ある一角にある店先に、一際大きな黄金に輝く男の像が置かれている。
大きさは大体180センチほどはあるだろうか。
その像は周囲の物品とは異なる、確かな威厳を放っていた。まさに『黄金の父』の名にふさわしいのではないかとすら思うだろう。しかしこの像の右腕は欠けている。
「やあ、良かったら見ていってよ」
▼ これを売ってほしい
「これは残念ながら売り物じゃないんだよね」
「ほら、この像、右腕が欠けてるだろ?」
「これがニケ像だったらこのまま売ってたけど、不完全な像をお客さんに売るのは僕のポリシーに違反する。一応僕ら古物商にもそれなりのプライドがあってね」
「どうしても欲しいっていうなら、コイツの右腕を探してきてくれない?」
「そしたら売ってあげる。無料ってわけにはいかないけど、割引いた値段でね」
▼ 新たな目標が追加される
・像の右腕を探す
ノートルダム大聖堂
白い貴婦人とも称される大聖堂。
フランス革命以降、市民による破壊行動により一度廃墟と化した過去もあるが、今もその貴婦人の名は衰えず威厳をありありとうつしている美しい聖堂だ。
〈目星〉
聖堂近くにある電柱に、一枚のポスターが貼られていることに気が付く。
必須情報になるので、失敗した場合は風で飛んできたポスターを顔面で受け取らせるとよい。
コンサートのポスターのようだ。
開催日時は偶然にも本日。19時半開場・20時開演と記載がある。
ポスターには黄金色の光を纏った男の姿が描かれており、
その男は指揮者として大きく目立っている。
指揮者の名前はジャン=ジャック・アレ。
界隈では有名な指揮者なのだろうか?
シエル劇場について:〈図書館〉・あるいは検索など
パリの8区にあるシャンゼリゼ通りにあるようで、
クラシックな装飾と裏腹に、天井が大きく開くという
現代的なギミックが施されているのが特徴らしい。
音楽劇場とは、音の反響が命と言っても過言ではない。
そんな音楽劇場の天井をあけてしまうという派手な造形に、
SNS上では賛否両論が飛び交っていた。
また、出資者の中でも一際大きく名を挙げられていたのは
「ソン・レーヴ」という会社だ。
他の出資企業・出資者とは差別する形で記載されており、
多額の出資をしたのだろうことが窺えた。
ソン・レーヴについて更に:〈図書館〉
ソン・レーヴは音楽業界に携わる会社のようだ。
代表の名前には、ジャン=ジャック・アレの名が記載されている。
▼ 良いタイミングで
「おい兄ちゃん(姉ちゃん)たち!良かったらアンタらも参加しないか?」
ノートルダム大聖堂前の広場にて、探索者らは一人の若者に声をかけられる。
見れば彼は数台のテーブルの前で、絵の具がたっぷりついたエプロンを掲げていた。
「子供たちや観光客向けに、アートのワークショップをやってるんだよ」
「ちょうどお客が捌けたところでさ。パリ土産のひとつにどうだ?」
テーブルの上には木でつくられた40センチほどのエッフェル塔が乱雑に置かれおり、ひとつ25ユーロで購入することによって、このエッフェル塔を好きな色に塗ることが出来る、というワークショップのようだ。
① 方向性を決めよう!どんな色合いにしようか?アイデア
② 〈DEX*5〉あるいは〈芸術技能〉などで判定を行う。
①に成功した場合、②の判定に+20%出来る。
③ 1D100を振り、周りからの評価を判定。
(あなたの作品だ!自身の作品への評価は好きに決めていい。)
▼ 完成後、良いタイミングで
「おいおい!アンタ大丈夫かよ!」
指導役の男が声をあげた。
ふと顔をあげると、うつろな表情の女性がフラフラと探索者らのいるテーブルに近づいてきていた。
〈回避〉
成功:彼女との衝突を避けることが出来る。
失敗:彼女とぶつかってしまう。テーブルにあった絵の具が探索者の服にもついてしまう。
成功・失敗に関わらず、彼女は正気のない表情のまま、倒れるようにテーブルへ上半身を大きく打ち付ける。
筆洗(ひっせん)用のバケツがいくつか倒れ、彼女と無地のエッフェル塔を染め上げていった。
「レディ!良い加減にしてくれ、こんな昼間に酔っ払いか? ああ、せっかくの商売道具が!」
男は落胆に頭を抱えている。
▼ 女に話を聞く
〈精神分析〉で話を聞くことが出来る。
▼ 〈精神分析〉〉に失敗
「やめて、こないで……わたし、まだ死にたくない……!」
「父がくる、きっと、わたしたちの父が……」
焦点のあわない瞳は、探索者らには見えていないなにかを見ている。
彼女はそのまま、パリのどこかへ消えてしまった。
▼ 〈精神分析〉に成功
「とても恐ろしい夢を見たの……いいえ、あれは夢なんかじゃないわ。現実に起こる未来だった」
「わたしたちの父が、空に!空に!あれから逃げることは出来ない」
「きっと父はここに来るわ。止めるなんて出来ない。だって私は、実際にその未来を見たのだもの」
「ああ!どうしてわたしはあんな時間の2区に……」
▼ 2区になにが?
「最近、2区で人攫いがあるっていう噂があったのよ」
「わたしはそんなの、信じていなかったわ。2区は観光地だし、一目も多いからそんなのあり得ないって思ってた」
「でも、実際に人攫いはあった………だって、私がその被害者になってしまったんだもの!」
「彼らはなにかを不安がって、『未来の視察』を行うと言っていたわ。十人とすこしの拉致被害者を集めて、1時間ほど、変な呪文を唱えさせられた。そして、その詠唱が終わった後に、そのなかの一人が────わたしが、未来に投げ出されてしまったのよ。信じられる? 信じられないわよね。ええ、ええ!当たり前だわ。でも見たのよ!わたしはこの目で、この世の終焉を見たの!」
未だ落ち着けやしない彼女は、濡れそぼったブロンドを掻き上げておいおいと泣き始める。
これ以上は、構ってやらない方がよいだろう。
▼ 女性との対話後
「アンタら、折角だしコレやるよ」
指導役の男は、一個のエッフェル塔を差し出す。様々な絵の具が混ざった水を被ったそれは、黄土色──あるいは黄金──に染まっている。
「いらなかったら捨てていいから!どうせ全部捨てるんだ、俺のことを憐れむと思って持っていってくれよ」
探索者らがそれを受け取るのであれば、「なんか変な事に巻き込んでごめんな。パリには確かにいろんな人間がいるけど、なにも変なヤツばかりじゃないからさ、懲りずに観光を楽しんでくれよ」と片眉をあげて笑った。
探索終了後
観光案内所
行き詰まった探索者らは観光案内所に向かう。すると、偶然にも一人の男性が受付の女性に詰め寄っている場面に遭遇した。
「困ります。そういったお話は警察の方に……」
「警察?警察ならさっき行ってきたばかりだ!『まずは落ち着いてください、ムシュー』だとよ!俺が普段から落ち着いて話も出来ないボンクラ・アーロンだって言いてえのか?落ち着いて話が出来る状態なら、コッチだって冷静に話してるに決まってるだろ!」
〈人類学〉
ダメだった場合:〈アイデア/2〉・〈目星/2〉・〈聞き耳/2〉
なにやら顔を真っ赤にして案内所のスタッフに怒鳴り散らしている彼から、
シンナーに近い香りがした。
よく見てみると、ズボンの裾には少量のペンキがついている。
また、観光案内所周辺には車やバイクなどが停まっていた様子はない。
以上のことを鑑みるに、近隣で作業をしている塗装屋なのだろう。
何故彼が激昂しているかまでは分からないが──。
▼ 男に話を聞く
「俺の大切な鍵が盗まれたんだよ!」
「いつもネックレスに通して、肌身離さず守ってたってのに!」
「あの鍵を持ったやつがいたら容赦しねえ、これからの人生、いくら気分がよくなっても鼻歌しか歌えねえようにソイツのもってる歯を全部へし折って、その歯をカリンバにして贈ってやるんだ」
▼ いつ頃なくなった?
「今朝までは確かに胸元にあったはずだ」
「今日は散々な1日でな。鳥にフンをつけられるし、俺がとおる信号機は全部赤で、職場のヤツらは最近の人攫いの噂を聞いて職場に来ねえ。おかげで俺ともう一人で作業を進めなきゃなんねえし………良い事なんて、たまたまぶつかっちまった相手がベッピンだったくらいで……」
〈アイデア〉
彼が激昂している間は、どれだけ冷静に〈精神分析〉を行っても話は通用しないだろう。たとえ探索者らが持っている鍵が彼の探す鍵だったとしても、今それを彼に伝えるのは悪手だと思える。ここは一度、彼の感情が落ち着くまでは退散すべきだろう。自分らの歯がカリンバに変えられてしまう前に。
観光案内所を去る前に〈聞き耳〉
「あの鍵がねえと、あの黄金の宝が売れねえじゃねえか」
「誰にも盗まれねえように職場にまで持ち込んで、丁度今日売りに行こうと思ってたのによ……」
男はそう、悔しそうに言っていた。
▼ 男の職場を探す場合
〈アイデア〉+〈ナビゲート〉
成功した場合はターン消費なし・一部成功で30分・どちらも失敗で1時間経過
どちらの技能も、誰かが成功すれば成功扱いで構わない。
男の職場
パリの観光案内所周辺を歩いていく。
しばらくすると、探索者らは一部に足場が組まれたある一軒の施設を見つけた。アンティークな装飾のアパルトマンの一階がなにかの施設になっているようで、2階から上は一般的な住居のような出立をしていた。
「アーロンのやつ、まだ帰ってきてねえのか?」
その場にいたつなぎ姿の男は、鬱陶しそうにペンキのついた指で前髪を撫で付けている。
〈アイデア〉・〈目星〉
他のものたちは休憩に行っているのか、現在つなぎの彼の周辺にはそれ以外の人物は見当たらない。
そして、積み重なった作業員達の荷物にまぎれて重厚感のある大きなアタッシュケースがあるのを見つける。
それは例えば、あの像の右腕くらいなら入りそうな大きさをしていた。
① プレイヤーは様々な方法でアタッシュケースに近づく方法を提案できる。 近づく人間は1人でも構わない。それ以外の探索者がサポートに回るのであれば、近づく者の技能値に+10%ずつ加算してよい。
(例:〈隠密技能〉で隠れながら行く・〈交渉技能〉で作業員の気をひく など)
② 作業員の〈人の動きに気が付く〉技能を振る。成功値は30%である。
①でアタッシュケースに近づいた者が技能に失敗した場合は、作業員の技能値に+10%ずつ加算されていく。
③ ②が失敗した場合は、アタッシュケースに近づくことができる。
成功した場合は、作業員を戦闘などで無力化する・あるいはその場から逃げる必要がある。
▼ 作業員
STR14・CON9・DEX10・HP12
〈人の動きに気が付く〉 80%
〈回避〉 30%
〈こぶし〉 70%
〈こぶし〉ダメージ 1D3
▼ 進行例
① 探索者Aが〈交渉技能〉に成功し作業員の気をひくことができたが、探索者Bはアタッシュケースに近づこうとし〈隠密技能〉に失敗した。
② 作業員は〈人の動きに気が付く〉を30%+10%で振る。そしてこれは成功してしまう。
③ 探索者Bは作業員に見つかるが、〈DEX*5〉でアタッシュケースの強奪に成功。
④ この場合、作業員も〈DEX*5〉を振ると良いだろう。この技能が成功すると逃げきれないが、失敗すれば探索者らはその場から離れられてよい。
適当な理由をつけて作業員の技能値を下げたりしてもよいが、プレイヤーが散々なファンブルを出した場合には人の道を外れてもらうしかないかもしれない(戦闘を行わせるという意味)。
▼ アタッシュケースを確認する
もし探索者がアタッシュケースの中身を確認する場合、そこには黄金に輝く右腕の像が入っている。 このまま換金すれば良い値段になるだろう。
右腕を渡す場合
モルマントルに戻ってきた探索者らは、例の店員にそれを渡すことになるだろう。
「やあ、まさか本当に持ってくるなんて思わなかったな」
「ありがとう。これで完璧な”商品”だ。」
彼が、探索者らが持ってきた右腕をがちりとはめ込む。
すると、金の像の眼光が淡く光ったような気がした。
そしてその眼光を視認した探索者らは、ある幻覚を見ることになる。
+++
探索者らは、空を望む劇場の壇上にいた。
貌のないオーケストラ集団が探索者らを取り囲み、
不協和音にも似た音楽を一心不乱に奏でている。
〈POW〉もしくは〈目星〉
何故か、そこを確認しなければいけないと強く感じたからだ。
── 視線の先は舞台袖へと移る。
暗がりの舞台袖に、重厚な譜面台が一台置かれているのが見えた。
譜面台には楽譜のような何かが記された一枚の紙が置かれている。
そこに一人の女が現れ、その女は、その紙を手に取った。
▼ 共通描写
それから妖艶な足取りで舞台上──探索者らの傍──に歩み寄った彼女は、
その紙に書かれたなにかを、劇場に響く不気味な音楽にのせて歌い始めた。
すると、どうだろうか。
次第にグラグラと空が揺れ始め、劇場内に収まっていたオーケストラたちの音楽がまるで天に昇っていくように肥大し、探索者らを包み込んでいく。
ギイギイと鳴るヴァイオリンの弦。
ダン、ダンと叩きつけるようなティンパニの騒音。
トランペットのつん裂く音色は、生きる者の死に際を飾る叫びにも似ていた。
ビリビリと悲鳴をあげる鼓膜。
先ほどから聞こえる早鐘は、自身の心臓からか、無貌のオーケストラからか。
そうして意識が途切れる直前。
探索者らは、空から現れた何らかの片鱗を目にすることになる。
螺旋状の黒い物体を。奈落の混沌を。白痴の存在を。
探索者らの脳裏では、幼少期に聴いたフランツ・シューベルトの「魔王」が自身へのレクイエムとして流れ始めていた。
アザトースの片鱗および世界の終焉の幻覚を見た探索者は正気度喪失〈1D8/1D20〉
+++
「おーい、君たち。大丈夫?」
「これは800ユーロで売ることにするよ」
「本当は1000ユーロにしようと思ってたけど、探してきてくれたお礼に?」
2区の宗教施設に行く
しかし、ひとつ注意してほしいのは、その場所がアタッシュケースを盗んだあの場所(アーロンらの職場)であるということである。
アタッシュケースを盗んだ後に向かおうとする場合は、デメリットが発生するはずだ。
宗教施設内に入り込むこと自体は容易であり、そこにいる暗黒のファラオ軍団の団員たちは「入団希望か?」と伺ってくるだろう。
ここで得られる情報は以下の通りだ。
◆ ドニ・ルグランはこの教団の幹部である。
◆ 人攫いをしているというのは事実無根だ。入団希望の人間らがここに来たので、我々の方法にて未来を見せてやった(※嘘である。普通に攫っている)。
◆ 我々の見た未来は酷く恐ろしいものだった。この教団にこの世界を破滅に追いやろうなどという目論見はなく、むしろこの世界を救おうとしている側である。
◆ 幹部内では、施設にある重要なアーティファクトが盗まれてしまったらしい噂がはびこっている。それはこの施設の中で最も大切なものであり、このアーティファクトを盗んだ者が滅亡を企てているのではないかという話も出ている。
◆ ドニ・ルグランの元婚約者は、よくこの施設に足を運んでいた。フランス人ではなく、数年前にパリへ引っ越してきたらしい。教養がなく、頭はあまり良くないが、その顔の良さから美人局やスリなど、悪どいことをして生き延びてきていたらしい。
シエル劇場にて
開場時間となったシエル劇場は賑わいを見せており、
国内国外問わずの人々が劇場入口には押し寄せている。
列にならい、入場をすると、入口のロビーでは事前物販が行われていた。
事前物販
「いらっしゃいませ!」「今回のコンサートにまつわるグッズを販売しております」
「宜しければお手にとってご覧ください!」
・クッキー
・ジャン夫妻の生写真
・指揮棒のレプリカ
グッズは、基本的に2本の指揮棒のようなものがモチーフとなっている。
片方は先が湾曲しており、もう片方は逆さアンクの形をしている不思議な指揮棒は交差するようなデザインでパンフレットの表紙やクッキーにも印字されていた。なかでも、指揮棒のレプリカは人気商品のようで物販スタッフは「指揮棒のレプリカは残りわずかとなっております!」と声をあげている。
「お客様、こちらは今回の公演の指揮者であるジャン=ジャック・アレが使用する不思議な指揮棒のレプリカなんです!大人気商品で、残りはわずか!如何ですか?」
ここシエル劇場は、指揮者であるジャン=ジャック・アレが多額の出資を行ったらしく、今回のコンサートの最後では、大きく天井を開き星空を眺めながら、ヴィクトワール・アレの歌と共に盛大な音楽をお届けする……とのこと。
聞き込み
ファンの人に聞き込みを行うことが出来る。
▼ ジャンは有名人?
「音楽業界では有名な指揮者よ」
「ソン・レーヴという音楽団体を運営していて、慈善事業にも携わっているわ。素敵よね」
「慈善事業っていうのは………そうね、色々よ!このシエル劇場の創設にも大きく関わってたみたいだし。ほら、きっと地域活性化の為とか………とにかくそういう、すごい人なのよ」
▼ ジャンはどんな人?
「不倫問題で一時期話題になったみたいだけど、悪い人じゃないのよ」
「婚約者から今の奥さんを略奪した、だなんて大衆からは言われているけど、略奪っていうには些か聞こえが悪いようにも思えるわ。だって、ジャンはとっても好い人だもの!」
「元婚約者の人は、2区で怪しい宗教団体をしているとの噂もあるし……。彼の職場付近で作業を行なっている友人から、彼の職場のオフィスに無数のファラオ像が飾られているという話を聞いたことがあるわ!不気味でしょう?きっとジャンは、不気味な宗教信者から今の奥さんを救ってやったのね」
〈心理学〉
不倫・略奪問題が起きてもそのように庇われているのは、本当に彼の人柄が良いからなのだろうか?周囲の観客を見渡すと、演奏よりもジャン本人目当てで来ているような人間も多いように思えた。ジャンの姿を真似るような様相の者や、ジャンを自らの恋人のように語る者の姿も多く見える。それはファン精神だけに止まらず、一種の洗脳のようなものにも近いように思えた。
劇場内に入る
内部も外観に劣ることはなくクラシカルな装飾の大きな劇場で、天井からは放射状の切れ目が伺える。
探索者の席は当日購入したチケットともあり、壇上からは離れた位置──劇場入口付近──にある席だ。
▼ 開演
開演のブザーが鳴り響き、劇場内は大きな拍手の波に包まれた。ほどなくして、幕があがる。
椅子に浅く座ったオーケストラ集団は扇状に並べられ、
そこに指揮者であるジャン=ジャック・アレが登壇する。
観客は一際大きな拍手で彼を迎え、ジャンはそれに人のいい笑みで答えた。
歓迎の波が静まった後、彼は柔らかく流暢なフランス語で語る。
「本日はお集まりいただきありがとうございます」
「今夜素敵な世界の始まりをみなさまと迎えられること、大変嬉しく思います」
「今回のコンサートは『我が愛すべき父に捧ぐ祝福』がテーマです」
「近頃、フランス・パリの治安は悪くなっていくばかりです」
「特に観光スポットが集約している2区には悪どい神を信仰するばかりか、巧みに女を言い包め長年の間手篭めにしているなどという不埒な輩まで」
そんな男の言葉に観客達はチラホラと笑いをこぼしている。
「今こそ、その輩諸共、これから奏でる美しい旋律にて一掃し、美しいパリを取り戻す時だ!」
「今回使用するこの特別な指揮棒には、魔力が込められています」
「今回のコンサートにて最後に奏でる、オペラ『サバの女王』より『フィナーレ』という楽曲では、妻のヴィクトワール・アレにヴォーカルを務めてもらいます。紳士並び淑女の皆さんに素敵な夢を届けられるよう、彼女の歌声とこの指揮棒にて、その楽曲の名の通り最高のフィナーレを飾らせていただく予定です」
「今宵は愛しの『ペール・ドオ』と共に」
「至福のひとときをお楽しみください」
そう言って、彼は黄金に輝く2本の笏を掲げた。
照明をうけてキラキラと瞬くそれは、片方は先が湾曲しており、もう片方は逆さアンクの形をしている。威厳のある金の番は、彼が持っていると何やら指揮棒のようにも見えた。
〈フランス語〉+20%
探索者は思い出す。
黄金の父を表す「Père d'or(ペール・ドオ)」という言葉は、
フランス語の同音異義語として「paire d'or(ペール・ドオ)」
「黄金の番」という言葉と、同じ発音であるということに。
・・・
また、このコンサートが終演を迎えた時、
この世界もひとつの終わりを迎えるのだろうと
探索者たる本能が告げている。
探索者は、モルマントルにて見た幻覚のことを思い出す。
あの幻覚の中では、女が歌い始めたその時に、終焉は訪れた。
もしあの終焉が現実にも訪れるのだとしたら、“特別な魔力が込められた”笏と、彼女のもつ譜面をどうにかしなければならない。
招来を食い止める
招来を食い止めるには、以下の手順が必要だ。
① 舞台袖に忍び込む
② 2本の笏および楽譜に細工を仕掛ける
招来を食い止めるまでの猶予は10ラウンド
※ 到着が20時から30分遅れるごとに1ラウンドマイナスを行う。
規定ラウンド以内に①および②の行動を完了していない場合、ロストエンドになる。
① 舞台袖に忍び込む
まずはコンサート開始後、舞台袖に忍び込む必要がある。
劇場内には(探索者の数+2)人の警備員が配置されており、派手に動くことは難しいだろう。
また、強行突破をした際、即座に悪魔を呼び出されてしまう可能性もある。
迂闊な行動は出来ない。舞台袖に忍び込む堅実な方法を考えるべきだ。
▼ 現在地から舞台袖までの距離
3マス
・・・
舞台袖に辿り着いた探索者から②に移行することが可能。
ラウンドの最後にこの技能は振られるが、プレイヤーの様々な提案で下げることが可能だ。
基本的に技能成功によるマイナス補正は-10%(クリティカルで二倍)
▼ マスの移動について
警備員が技能に失敗した場合、移動を選んだ探索者は技能の成功失敗に関わらず、1マス移動を行うことが出来る。
〈不審者を見つける〉が成功した場合、注意を受けて席に戻されてしまう。
2回失敗した場合は警備員の監視の目が光り、全技能に-20%。
3回失敗した場合は劇場から追い出されてしまう。
1R中に警備員を行動不能にした場合、〈不審者を見つける〉に-10%
1R中に気絶までいかなかった場合は、無線を使用される可能性がある。
しかし全ての警備員を行動不能にした場合、その後の移動は問題なく行うことが出来る。
▼ 隠密技能
探索者が隠密技能に成功した場合、探索者の技能成功値と、警備員のもつ〈不審者を見つける〉の成功値を競わせる。
探索者の方が成功値が低かった場合、1マス移動することができる。
例①
探索者が80%の隠密技能を20%で成功させる。
警備員も60%-10%の〈不審者を見つける〉技能を40%で成功させる。
どちらも技能は成功しているが、探索者の成功値が警備員よりも低いため、探索者は1マスの移動が可能。
例②
探索者は、50%の隠密技能を60%で失敗してしまう。
警備員は60%の〈不審者を見つける〉技能を50%で成功させる。
探索者が失敗している為、その探索者は席に戻されてしまう。
▼ 交渉技能
成功した場合、〈不審者を見つける〉に-10%
▼ その他の技能
キーパーは頑張ってプレイヤーの提案に対応しよう。
DEX15・STR11・CON8・HP10
〈不審者を見つける〉60%
▼ 探索者の移動について
隠密技能を伴わない移動は可能だが、隠密技能を使用すれば警備員の技能値を下げることが出来る。
基本的には技能を振った方がお得なシーンにはなっているが、失敗やファンブルを恐れる場合や、他のプレイヤーがクリティカルなどをした場合は純粋な移動のみを行うのも一つの手だろう。
②2本の笏および楽譜に細工を仕掛ける
舞台袖には2本の笏と楽譜が置かれている。
なにか呪文のようなものが書かれている。
おそらくこれを読みあげ、彼らは悪魔を呼び出そうとしているのだろう。
〈フランス語〉もしくは〈アイデア〉
ヴィクトワール・アレは母国語がフランス語ではないのだろうか?
呪文は直筆で書かれているようだが、ところどころスペルミスがあったり、発音を補助するためのメモが書かれていたりする。
私たちはこの世の父による聖なる夢から目醒め
フルートの音色と共に
新たな夢を見るだろう
私たちは終わりを望んでいる
世界にある重荷を全て投げ打ち
洗練された未来へ飛び立たん
汚れてしまった我らがフランスを
かの暗黒のファラオから救い給え
今グラスいっぱいのワインを飲み干し
貴方の平和をパリに轟かせるのだ
〈フランス語〉もしくは〈図書館〉
フランス語には様々な同音異義語が存在する。
平和(paix)…… pet(おなら)
重荷(poids)……pois(エンドウマメ)
グラス(verre)……ver(ミミズ・寄生虫)
男性系/聖なる(saint)……seins(おっぱい)
終わり(faim)……fin(空腹)
洗練された(fin)……feint(見せかけの・うわべの)
▼ 2本の笏
アクリルケース内に保管されているようだ。
ケースを開ける場合:〈鍵開け〉・〈機械修理〉
ラウンド内に行えなかった場合、次ラウンドで再チャレンジを行える。
このタイミングで技能値に+40%補正が入る。
ノートルダム大聖堂でもらったエッフェル塔か、事前物販で購入したレプリカを持っているだろうか?
それら二つは、笏に似た形状をしている。もしかすると代用が出来るかもしれない。
しかし笏を入れ替えただけでは、不安要素が残る。
では、楽譜の歌詞を別の言葉に入れ替えてしまうのはどうだろうか?
〈フランス語〉に失敗すれば、探索者は楽譜の歌詞を「変なコトバ」に書き換えることが出来るだろう。
これら2つの細工の数によって、物語のエンディングは決定される。
10ラウンド以内であれば、これらの作業はいくらでも挑戦して構わない。
この値は探索者が行う②での行動に応じて減らされていき、減少値は以下の通りである。
単語を書き換える 1単語につき10%
笏を変える 10%
A. 私もそう思いましたので、ジャン=ジャック・アレのINTを大幅に下げておきました。これにより解決しています。
フィナーレへ
〈聞き耳〉
舞台袖に近づくヒールの音が聞こえてくる。
〈隠密技能〉暗がりである為+20%
成功:近づいてきた人物に見つからないよう、隠れることが出来る。
失敗:一弾指の差で隠れることには成功したが、姿を見られていないかと不安に襲われる。正気度喪失〈1/1D2〉
気がつけば、女は先ほどまで手を加えていた楽譜と、金の笏をアクリルケースから取り出して舞台上へと歩いていく。
壇上は再び拍手に包まれる。
それと同時に、劇場の天井が大きく開き始めた。
満点の空の元、ジャンは彼女を抱擁で出迎え、観客の熱気が静まった後、彼女は荘厳な演奏と共に大きく息を吸い込んで美しい歌声と共に歌い出す。
エンド1:王権のためのデモナータ
彼女が歌う最中、劇場の観客はといえばクスクスと笑い声をあげていた。
彼女は不思議そうにしながらも、プロ根性でその曲を歌いきり、ジャンは2本の笏(あるいはエッフェル塔)を振りながらも、自らの妻を憤るような困惑したような表情で見つめていた。
・・・
演奏後。ジャンは「なんだ今の歌は!」とヴィクトワールに駆け寄る。
「な、なにってなによ!私は最後まで歌い切ったわ!」
「呪文の詩の話をしているんだ!あの呪文はそんな奇怪な詩だったのか?!」
「知らないわよ!フランス語は苦手って何度も言ったのに、『書かれている通り歌えばいい』と全てを私に押し付けたのは貴方じゃない!私は書かれた通りに歌い切ったわ!」
「ならどうしてアザトース様は現れない!」
「知らないわよ!暗黒のファラオ団からその笏を奪ったのも私、呪文を読み上げたのも私!貴方は間抜けなツラをして棒切れを振っていただけじゃない!こんな事なら、ドニの元でネ=フレンカ様を信仰している方がよっぽどマシだったわ!」
………そんな痴話喧嘩が壇上では繰り広げられている。
不意に、後ろからだれかの気配を感じた。
「ご苦労様」
「無事に黄金の父を取り返してくれたようで良かった」
「我々が所属する暗黒のファラオ団のフランス支部では、ファラオ様の父であるアザトースの眠りを邪魔させない為にと命を受けた集団でね」
「あの金の笏がなければ、不足の事態にも対応が出来ないハズだったのだが………」
「随分と面白い方法で彼らを止めてくれた」
「礼を言おう」
「金の笏を、我々の元に返していただけるかな?」
▼ 返す
「ありがとう。これは約束していた金だよ」
ルグランは銀に光るアタッシュケースを手渡す。中に入っているのは黄金に輝く右腕ではなく、束にまとめられた6000ユーロだ。
▼ 返さない
「ああ、面倒な冗談はよしてくれ」
「手荒な真似はしたくないんだ。エンドロールをレクイエムで締めくくりたくはないだろう」
ルグランは探索者らの瞳を焼くように見つめる。
その表情は暗闇でも分かるほどに恐ろしく、唇に潜む半円と不釣り合いに感情の乗らない双眸は探索者らの終末を予感させるようだった。
ここで逆らっては、ようやく手に入れた平穏がたちまち闇へ消えていってしまうだろう。素直に従った方が良さそうだ。
「では、良い夜を過ごしたまえ、ヴィドックたち」
世界の終焉を阻止することが出来た探索者らは
そうして日常に戻っていくこととなるだろう。
美しいパリでは、今日も"平和"の音が響いている。
生還報酬
正気度回復 1D10
〈クトゥルフ神話技能〉 2%
招来に成功する
彼女の歌を、観客たちは静かに聞き入っている。
それから、演奏の盛り上がりと比例するように次第にグラグラと空が揺れ始めた。
劇場内に収まっていたオーケストラたちの音楽がまるで天に昇っていくように肥大し、探索者らを包み込んでいく。
ギイギイと鳴るヴァイオリンの弦。
ダン、ダンと叩きつけるようなティンパニの騒音。
トランペットのつん裂く音色は、生きる者の死に際を飾る叫びにも似ていた。
ビリビリと悲鳴をあげる鼓膜。
先ほどから聞こえる早鐘は、自身の心臓からか、無貌のオーケストラからか。
不幸にも、探索者らの意識が揺れ落ちることはない。
探索者らは今度こそ、空から現れた恐ろしい存在の全貌を目にしてしまうのだ。
螺旋状の黒い物体を。奈落の混沌を。白痴の存在を。
探索者らの、ひいてはこの世界の未来は3分44秒たりとも残されていない。
アザトースを目撃した探索者は正気度喪失〈1D10/1D100〉
▼ 金の像を持っていない場合
確定で探索者はロストとなる為、エンド3に移行する。
▼ 金の像を持っている場合
正気が残っている探索者のみ、この行動を行うことが出来る。
「彼はまだ夢から醒めるときではない」
「彼をふたたび、元いる場所に返し眠らせるのだ」
【アザトース退散の呪文】を取得する
コスト:手元に金の笏がある場合:MP10/ない場合:MP20
正気度喪失1D10
エンド2:父のためのカンタータ
大きく開かれた天井に吸い込まれるように、逆走した音楽が劇場内を渦巻き消えていく。
瞬きをすれば、空にみた恐ろしいナニかは既にいなくなっていた。
壇上にいた夫妻はうつろな目で空を眺めているばかりだ。
劇場内にいる観客らも正気を失っているものが多く、キンとした静寂が探索者の周囲を包んでいる。
ふと、探索者は後ろからだれかの気配を感じることだろう。
「ご苦労様」
「犠牲は大きかったが、どうにか終焉は免れたようだね」
「さあ、金の笏を、我々の元に返していただけるかな?」
▼ 返す
「ありがとう。これは約束していた金だよ」
ルグランは銀に光るアタッシュケースを手渡す。中に入っているのは黄金に輝く右腕ではなく、束にまとめられた6000ユーロだ。
▼ 返さない
「ああ、面倒な冗談はよしてくれ」
「手荒な真似はしたくないんだ。折角掴んだ未来だろう?」
ルグランは探索者らの瞳を焼くように見つめる。
その表情は暗闇でも分かるほどに恐ろしく、唇に潜む半円と不釣り合いに感情の乗らない双眸は探索者らの終末を予感させるようだった。
ここで逆らっては、ようやく手に入れた平穏がたちまち闇へ消えていってしまうだろう。素直に従った方が良さそうだ。
「では、良い夜を過ごしたまえ、ヴィドックたち」
世界の終焉を阻止することが出来た探索者らは
そうして日常に戻っていくこととなるだろう。
生還報酬
正気度回復 1D20
〈クトゥルフ神話技能〉 8%
エンド3:王権のためのソナタ
それからのパリがどうなったかなど、探索者らは知るよしもない。
心地の良い昼寝を邪魔された父は、いずれ再び眠りにつくだろう。
彼のみる夢の中に、音楽という娯楽は存在するだろうか?
願わくば、次に奏でられるソナタが、君たちにとって心地の良いものでありますように。
探索者ロスト