Delirious with STAR's fever !作者:■■■■■■
タイトル | Delirious with STAR's fever !(ディリリアス ウィズ スターズ フィーバー!) |
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舞台 | 現代日本 |
人数 | 2人(KPC可能)・新規限定 |
時間 | ボイスセッションで6時間〜 |
ロスト | あり |
必須技能 | 〈芸術:歌唱〉〈芸術:演奏〉 |
推奨技能 | 〈回避〉〈目星〉〈図書館〉 |
含まれる要素 | 実在する病名・自殺や殺人などを匂わせる描写 |
あなたは、熱に浮かされている。
ハンドアウトについて
HO1 バンドマン
あなたは超人気バンドのボーカルだ。
唯一無二の歌は、誰よりも人の心を惹きつける。
HO2 マネージャー
あなたは超人気バンドの新しいマネージャーだ。
事前情報
・Mirage Rock Fes / ミラージュロックフェス
幻のフェスと呼ばれている。
2023年、{HO1の所属するバンド}はトリとしてこのフェスに参加した。
{HO1の所属するバンド}
絶大な人気を誇るロックバンドだ。人気の理由は全てHO1の歌にあると言って過言でない。
どんなバンドかはHO1が決めてよい。ただし、以下の条件は必須だ。
・スリーピース以上であること。
・HO1はボーカルを担当すること。
・ミラージュロックに参加したのは、デビューしてから1桁年以内であること。
・熱狂的なファンが多いこと
※HO1は、バンド名や情報をKPとHO2に共有すること。
HO1 秘匿導入
?
爛れた喉から、灼熱の血潮が伝播する。
腹の底から睫毛の先までが、今まさに燃えている。燃えている。
湖のほとり、夜のフェス会場はこんなにも涼しいのに、自分だけが浮いていた。
マイクの前に立つ。待っていたというように歓声が上がる。観客が熱を帯びていく。
少しずつ、あなたの熱が周囲に溶け込んでいく。
周囲が期待している、歌わなければ。
全ては、歌なのだから。
ハイテンポな曲だ。ドラムが地を揺らし、ギターが歪み、ベースが弾け、そして大音量で{HO1}の歌声が流れ出す。
幾億にも屈折し、何万人もの心臓を貫く熱線!会場のボルテージは間違いなく今日イチ、最高潮だ!
しかしあなたはそれどころではなかった。
この状況は明らかに異常だった。
...嫌な予感はずっとあった。震える指で自身の喉を触る。
ああ、やっぱり。
声帯は少しも振動していない。
あなたは歌えていないのだ。
それに気がついたのは、いや、理解してしまったのは、一番のサビも終わる頃だった。
高性能なスピーカーから、録った歌声が淡々と流れていく。
まるで過去の自分が、音楽に全てを捧げた今の自分をあざ笑うかのように——
昼
耳を叩く着信音に、あなたは跳ね起きる。
部屋の蒸し暑さと悪夢のせいで、シャツが肌に張り付いていた。
喉の不調に気づいたマネージャーはあの日、過去に録音したあなたの歌声を会場に流した。
あなたがもう少しも歌えないのだと分かっていたかのように、「被せ」では片付けられないほどの音量で。
しかしそのおかげか、あのステージが特に話題になることはなく、バンドの人気は保たれた。
対照的に不安定になったのは、バンド内部だ。
あのフェス以降、親友である椎名ユズルを筆頭に、バンドメンバーの集まりが悪くなった。
連絡をしても煮え切らない返事ばかりで、練習もレコーディングもままならない。
事実上の活動休止状態だった。
▼ 着信を確認する
画面には「椎名ユズル」とかかれている。
電話に出れば、思わずスマホを話してしまう程の環境音が聞こえてくる。
〈聞き耳〉
駅のホームにでもいるのだろうか?
電車通過のアナウンスが流れている。
「久し…。…らく連絡…、悪かっ…。」
「...お前に、話して...とが...。」
「お前か...のは、...だ。」
「後悔しない人生を、歩んでくれ」
けたたましいブレーキ音が、鼓膜を劈く。
誰かの悲鳴と、止まらない警笛がノイズ混じりに聞こえて、ぶつりと電話は切れた。
妙にはっきりと聞き取れた最後の言葉が、彼の遺言なのだとあなたは理解した。
葬式はとっくに執り行われているだろう。
もしかしたら家も売り払われているかもしれない。
悩んだ結果、あなたは数日後の本編開始日、彼の家に足を運んでみることにした。
HO2 秘匿導入
過去
「記事のためならどんな手でも使え。」
1年前のミラージュロックフェス後、失踪した上司の口癖だ。
コール音だけが空しく響いている。あれから何度電話を掛けても出石にはつながらなかった。
出石のデスクはすでに片付けられており、現在はあなたのデスクになっている。
彼のデスクにわざとらしく残されていたのは、1つのバインダー。
中には"{HO1の所属するバンド}"に関する様々な資料と、バンドの所属する有名レコード会社の名刺が入っていた。
名刺にはあなたの名前が書かれている。おそらく出石が偽造したものだろう。
「"{HO1の所属するバンド}"に関する記事を書く」これが彼から託された最後の仕事だと分かった。
バインダーには他にも彼の残したキーワードがあった。
「カルト集落」、「イエイリ科学博物館」、「幻の湖」...これらを追えば、出石の居所がつかめるのだろうか?
道中
あなたは本編から数日前、駅のホームで男が線路に飛び出し、通過する車両に轢かれたのを目撃した。
かなり凄惨な事故だったらしい。が、あなたはあまり記憶がない。
男の荷物は周囲にばらまかれ、あなたはそのうちの一つが少し離れた場所にあるのを見つけた。
拾い上げるとそれはパスケースで、免許証やICカードなどが入っていた。
名前は椎名ユズル...{HO1の所属するバンド}のギタリストと同姓同名だ。
あなたは混乱からか、それとも作為的にか、その場で拾得物を駅員に届け出ることをしなかった。
そして数日後の本編開始日、取材のついでに彼の家に足を運ぶことにした。